Eine kleine Spielzeugkiste

とりあえず、マンガのレビューや二次小説を書いていきたいと思います。

【はぴまり】二次小説(その6)

【重要なお知らせ】

ブログ開設して早々に恐縮ですが、ブログをお引越しさせていただきます。

http://ohisama-himawari.seesaa.net/

今後は上記のブログにて記事を書かせていただきますのでよろしくお願いいたしますm(__)m

(なお、こちらのブログで書いた過去の記事もすべて引っ越ししております)

 

 

 

 

(大好きなコミックス「はぴまり ~Happy Marriage!?~」(全10巻)のその後を二次小説で想像してみました。二次小説についての詳細はこちらをご覧ください。)


 

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その5からの続き)

相馬さんにキッチンの使い勝手をいろいろと伝えるために、一緒に夕食の支度をした。

「まあ、北斗様、ずいぶんと好き嫌いがなくなったのですねぇ。

奥様の手料理がよっぽど美味しいのでしょうね」

「いえいえ、そんな! ただ、北斗は外食も多いし、放っておくと食事をおざなりにしてしまう人だから… 私の作ったご飯を食べてもらえる時くらいは栄養バランスをなるべく考えたいなって思って」

そんな話をしながら、出来上がったご飯をダイニングテーブルに並べていると、ガチャリと玄関が開く音がした。

「あ、おかえりー。今日は早かったんだね」

「ああ。俺も今のうちに相馬と今後のことを色々打ち合わせしておこうと思って」

ネクタイをゆるめながら北斗がソファに座る。

「北斗様、ありがたいお話ですが、そのお話は後日改めてになさいませんか?

わたくし今日はこれで失礼させていただきます」

「えっ、相馬さんもう帰っちゃうんですか?」

「はい。北斗様もせっかく早めにご帰宅されたことですし、今日はぜひお二人の時間をゆっくりお過ごしください。

赤ちゃんが生まれましたら、なかなかお二人だけの時間もお取りになれないかと思いますので」

「そうか…ありがとう。また連絡する」

相馬さんは持参のエプロンをさっとたたみ、にこやかに帰っていった。

 

「この味噌汁は相馬が作ったんだろ?」

「あったりー!おふくろの味がする?」

「そこまでじゃねえよ。おまえの作る味噌汁はいつも少し味が薄いからな」

「北斗の健康のために、塩分を考えてお味噌ひかえているんだもん」

「おまえ、俺を年寄り扱いしてるだろ…」

こんな何気ない会話を交わしながら食卓を囲む。

子どもが大きくなったら、このダイニングテーブルを3人で囲むことになるんだよね。

その風景を漠然と想像して、私はふと爽汰くんという男の子のことを思い出した。

「そういえば、爽汰くんどうしてるかな… 私たち、去年も一昨年も間宮観光のクリスマスクルーズ参加できなかったもんね」

二年前のクリスマスクルーズのときに会った、北斗の取引先の社長の息子さん。

私のことをすごく気に入ってくれて、私たちの客室で北斗と3人で寝たんだった。

あのとき初めて、北斗と私と私たちの子と…っていう3人の暮らしもいいなって思ったんだ。

「ご両親からの年賀状では、入退院を繰り返してはいるが学校もそれなりに通えてるみたいだ」

「私、あのときは爽ちゃんが病気かかえてるなんて知らなくて…

次のクリスマスクルーズで会おうねって気軽に約束しておいて破っちゃった」

「仕方ねえだろ。間宮を出た後でのこのこクルーズに参加するわけにいかないし」

「ねえ、まだ先だけど、今年のクリスマスクルーズは参加できるかなあ?

理さんが間宮観光の社長なら、これから取引も始まるしお願いすることできるよね!」

「…俺は行かねーぞ」

「えー!?どうして?」

「あのガキ、絶対またお前と一緒に寝たいって俺らの部屋に押しかけてくるぞ。

それに今年は俺たちの赤ん坊まで生まれるんだ。お前の両隣をガキたちに占領されたら俺が千和の隣に寝れないじゃないか」

憮然としながら箸を口に運ぶ北斗。子どもにヤキモチやくなんて可愛い。

 

「俺はクルーズより、あの南の島へ行きたい」

「あの南の島って…北斗がサプライズで用意してくれた?」

「そう。おまえの24歳のバースデープレゼント。あの誕生日の旅行以来行ってないだろ?」

「ってゆーか、あの島まだ北斗のものだったの!?」

「あたりまえだ。おまえにやったプレゼントを人にやるわけないだろう」

呆れたような顔で北斗は言うけれど、呆れちゃうのは私の方だよ!

いくら小さな島だって、維持するのに沢山のお金がかかることくらい私にだってわかる。

「北斗、社長辞めてしばらく無職だったから、とっくに手放してると思ってた…」

「…おまえ、資産運用って言葉知ってるか?」

「それどういう意味⁉︎  私だって言葉くらい知ってるよ」

「とにかく、俺が無職だろーが社長やっていよーが、お前は金のこと気にする必要ないってこと」

まるで私には説明しても無駄っていう言い方をされて、なんだかおもしろくない。

「…その島も、その、資産運用…っていうのをしてるってこと?」

「まあ、そうだな。おまえの誕生日に合わせてあの島に手を入れたり別荘を建てたりしたけど、俺たちもしょっちゅう行けるわけじゃない。

遊ばせておくのはもったいないし、島も別荘も管理が面倒だから、間宮観光時代のツテで、金持ち向けの会員制旅行クラブを運営している会社に島をまるごと貸してあるんだよ」

「へ、へえー、なるほどねっ」

「安心しろよ。2年ごとに契約更新できるから、俺たちがリタイヤして住むことになったらいつでも住める」

バカンスならともかく、北斗がなんにもない南の島に住むなんて似合わない気がするけど…

でも、子どもが大きくなったら、のんびり二人の時間をそこで過ごすのも悪くないかな。

「でも、その島へ行くのはクリスマスじゃなくたっていいでしょ?

私は爽ちゃんとの約束、ちゃんと守りたいもん」

やれやれ、っていう軽いため息を一つして、北斗は食後のお茶をすすった。

それって私の好きにしていいってことだよね?

 

食べ終わった食器の後片付けをしていたら、キューっとお腹が固くなった。

「あ、またお腹張ってきた…」

「大丈夫か?」

お風呂上りの北斗がパジャマのボタンを留めながらシンクまで来てくれる。

「うん、最近よくあるんだけど、すぐにおさまるから平気」

「無理するなよ。食器の片付けくらい俺がやってやる」

えっ!?北斗がそんなこと言うなんて!

と、驚いた私を、北斗がひょいとお姫様抱っこした。

「ちょ…っ!北斗!お腹大きくなって重たいのに無理しないで!」

「おっと、確かに前より重いな…」

「わ、私が重くなったんじゃないよ!赤ちゃんがいるせいだからねっ///」

寝室まで抱っこで運んでくれるつもりみたい。

赤ちゃんと私、一緒に北斗に抱っこされてるみたいで、なんだかすごく嬉しい。

細心の注意を払って私をベッドにそっと下すと、

「うあー、腕がしびれた」って意地悪く言いながら、北斗も隣に寝転がった。

「おまえ、産後ちゃんとダイエットしろよな」

「えっ、だから赤ちゃんがいるからだってば///」

「ごまかすな!太ももや尻にまで肉ついてるの、ちゃんとわかってんだぞ」

北斗がギロリと私を睨む。す、すみません…

 

今までだったらこんな時間に二人でベッドに入ったら必ず北斗に襲われて(?)いたけれど、最近の北斗は私と赤ちゃんを気遣って、軽くて優しいキスをしながら、頭やお腹を優しくなでてくれる。

ほんとは私も物足りないけど、北斗の優しさをかみしめながら、横向きの体勢で北斗の胸におでこをつける。

「まだ張ってるか?」

「ん。もう平気。少し休んだらキッチンに戻るよ」

「俺の後片付けじゃ信用できねえの?一人暮らしだって長かったんだぜ」

「…あの汚部屋で、とても後片付けできてたとは思えないんだけど」

「まあ、あのマンションで食べることはめったになかったからな」

「ほらー!後片付けやってなかったんじゃない」

クスクスと二人で笑いあう。

 

向かい合うように横向きになっていた北斗が、おいで、と二の腕を伸ばしてくれる。

私はその腕の付け根に頭をちょこんとのせながらつぶやいた。

「…キングサイズのベッドにしといてよかったね」

「おまえ、俺が黙ってこれを買ったときにはあんなに怒ってたのにな」

北斗がむすっとした顔で言う。

「俺がいなくちゃ生きていけないがHはしなくても生きていけるとか言って、しばらく寝室別にしてただろ」

北斗、意外と昔のこと根に持ってるんだね(苦笑)

「だって、私の狭い実家に住んでるときだったんだもん!考えなしにこんな大きなベッド買っちゃって…って思った」

「俺は考えなしに買ったりなんかしねえ。

いずれ引っ越すんだから、このサイズで質の良い物を買っておいた方がいいと思っただけだ」

腕枕をした手で、私の髪をいじりながら北斗が得意げに言う。

「うん… これなら赤ちゃんが生まれて3人で寝ても窮屈じゃないもんね」

私がそう言うと、髪をもてあそんでいた北斗の指がぴたりと止まった。

「…はあ? おまえ何言ってんだ」

「何って?私変なこと言った?」

「ガキと3人一緒に寝るなんて冗談じゃねえよ!ここは俺と千和だけのスペースだ」

「ええっ!?冗談言ってるの北斗の方でしょ!? 赤ちゃんはどうするのよっ」

「そんなの、ベッドの横にベビーベッドでも置けばいいだろ」

「このベッドなら添い寝でいいかなって思ってたのに~」

「ダメだ。俺と千和のベッドには自分の子どもだって寝かさねえ。千和の隣は譲らないからな」

プイと横を向く北斗の頬がふくれているように見えて、北斗がずいぶん子どもっぽく見えた。

「ふふ… なんかもうすでに子どもが一人いるみたい」

「何とでも言っとけ。お前を抱けるようになったら倍にして返すからな」

「…///」

 

子どもが生まれたら、北斗ずいぶんヤキモチやきそうだな。

北斗のヤキモチからケンカになって、でもすぐに仲直りして、を繰り返すんだろうな。

子どもに私を取られちゃう分、夜は私を独り占めしようとするのかな。

でも子どもにメロメロになるのは、意外と北斗の方だったりして…

そしたら今度は私が二人にヤキモチやくのかな…

 

これからのことを想像しただけでついニヤけてしまう。

北斗と二人で夫婦として歩む人生と、生まれてくる子どもも一緒に家族として歩む人生ーーー

北斗と出会う前の人生からは想像もつかないくらい、私の人生は豊かな厚みをもって未来へ続いている。

そして、私たちを見守ってくれる人たちが、二人の歩む道を温かく明るく照らしてくれる。

これからもずっと、北斗と私は離れることなくこの道を歩いていくんだーーー

 

北斗の腕の中で幸せにひたっているうちに、頭の上から北斗の寝息が聞こえてきた。

食器の片付けは明日の朝にまわして、私もこのまま寝ちゃおうかな…

 

すると、またお腹がキューッと固く張ってきた。

さっきからちょくちょく張ってるけど、ずいぶん規則的に波がくるような…

 

うそ…

 

これってもしかして陣痛~~〜っ!!!?

 

(おわり)